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野崎家は日本の塩田王と呼ばれた野崎武左衛門(のざきぶざえもん)がその気宇に合わせて天保から嘉永年間に次々と築いていった民家です。敷地面積約三千坪・建物延床面積約一千坪あります。長屋門を入ると、濃い縁を背景とした本瓦葦の母屋群が軒を連ねて美しく、これに並んで威風堂々と軒を連ねる土蔵群があります。中門を入ると表書院の前庭となりますが、庭園は枯山水で、児島の豊富な石材を生かして石組みに幽玄の風情を表現しています。庭には各種の常縁樹林立し、茶室を結ぶ路地の傍には三尊石や陰陽石が点在し、設立者の美意識が遺憾なく発揮されています。総じて、建物と庭園がこれほど創建のままに保存されているところは稀有であり、山陽道の代表的民家と言えるでしょう。昭和52年岡山県指定史跡となりました。(郷土史家 角田直一監修)
お成門・長屋門
お成門は貴賓の出入口で、表玄関から
表書院へと通じており通常は閉ざされています。長屋門の石垣は、鉢巻積(はちまきづみ)の工法によるもので、七段の石段を上がると右に桃座敷、左に南座敷があります。このような門造りは、江戸時代の大庄屋建築中でも特に壮麗であり、天保九年(1838年)に竣工しています。
土蔵群
長屋門を潜ると母屋の右手に土蔵門が迫ります。
蔵は「商人のお城」とも言われ南から内蔵・大蔵・書類蔵・新蔵・岡蔵と並び、さらに内蔵の後方には夜具蔵が配されています。
表書院
表書院は、野崎家の中心となる建物で、貴賓の応接に当てられたものです。嘉永四年(1851年)一月から嘉永五年六月までの一年半をかけて竣工しました。上の間・下の間・茶室・玄関・相の間等から成り、上の間は十二畳半で、正面に一畳半の畳の間と一間の違い棚そして一間の付書院があります。下の間は十五畳で、一間半の床があります。縁先の手水場に、水琴窟(すいきんくつ)があります。心落ち着く琴に似た音色をお楽しみ下さい。